☆エッセイ
馬に乗る
5月初め、私の夢だった乗馬体験をした。
昨年10月に中学3年のクラス会が開催され、友達から8年前に「白井ライディングクラブ」という乗馬クラブを開いたことを聞いた。動物好きが高じてついに馬までいってしまったそうだ。
私は、一度でいいから馬に乗ってみたいと思っていた。幼い頃、茨城の利根川の近くにある母の実家に行くと、道を馬に乗った人が通る。その記憶がいつもよみがえる。颯爽として、なんて素敵なのだろうと子供ながらに思った。その頃からのあこがれが、この日娘と一緒に実現したのだから、実にうれしかった。
白井ライディングクラブのブログに「馬たちの大好物“にんじん”のお土産も大歓迎です。」とあったので、持っていったにんじんを娘と二人で小さく切らせてもらった。馬の口は人間の手にあたる。手を広げた上に、にんじんを乗せるとぺろりと上手に食べた。足を何度もこすっている馬がいたので、スタッフの方に聞いてみたら、もっと餌がほしいという意思表示だった。馬の目は心から癒されるやさしい目をしていた。
いよいよ、馬に乗る準備だ。ブーツをはき、ヘルメットをつける。友達に聞いていた軍手も持参した。2頭の馬は、白い馬が雪を意味するスノーウィ(20才)とグローリア(18才)という名のこげ茶の馬だった。人間でいうと80才と60才にあたるのだそうだ。私は、白馬に、そして娘はこげ茶の馬に乗った。聞いていた通り、馬上からの目線は本当に高かった。周りは緑の林に囲まれている。その中の散歩は、まるで避暑地にいるような錯覚をおこす。姿勢よく、後は馬の動きに腰を自然に合わせていけばいいと教えてもらう。馬の背にゆられて、私は遠く旅をした昔の人に思いをはせた。
この馬の背というものは、馬にとっては、あまり感じない部分だそうで、カラスが巣を作るため、馬の背に止まって、たてがみを抜いても痛くないという話にはびっくりした。
スタッフの方が働いて帰ってきた馬にやさしくマッサージしている姿を見て、馬も人間と同じなのだと思った。
心地よい緑の中の散歩が終わった。今、我が家には、向かい合った二頭の馬に乗った娘と私の大きく引き伸ばした記念の写真がある。私の夢を実現させてくれた友達に感謝の気持ちを伝えたい。
2012年5月11日体験乗馬 A・M様
☆馬の背から見ると、周りまわりはこんな感じです。 広い下のアリーナへは、このように林間を通って行き、森林浴もできます。